ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化

(出所:出入国在留管理庁 最終改定令和3年3月)

「『日本再興戦略』改訂2015」及び「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」における指摘を踏まえ,訪日外国人旅行者数が増大する中,外国人材の観光産業への活用を図り,外国人旅行者に対するホテル・旅館等における接遇を向上させる観点から,外国人がホテルや旅館等の宿泊施設での就労を希望する場合について,在留資格の決定に係る運用の明確化及び透明性の向上を図り,申請人の予見可能性を高めるため,在留資格の該当性に係る考え方及び許可・不許可に係る具体的な事例を以下のとおり公表します。

1 在留資格に該当する活動

例えば,本邦若しくは外国の大学又は本邦の専門学校を卒業した外国人がホテル・旅館等の宿泊施設における業務に従事する場合,地方出入国在留管理官署において「在留資格認定証明書交付申請」又は「在留資格変更許可申請」を行うことが必要です。

この場合,一般的には,出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)別表第一の二の表の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への該当性を審査することになります。

当該在留資格に該当すると認められるためには,申請人が従事しようとする業務が「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」又は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」でなければなりません。

また,以下の(1)又は(2)の要件,かつ(3)の要件を満たす必要があります。

なお,日本で従事しようとする活動が,入管法に規定される在留資格に該当するものであるか否かは,在留期間中の活動を全体として捉えて判断することとなります。

したがって,下記の活動に該当しない業務に従事することは認められませんが,それが企業における研修の一環であって当該業務に従事するのは採用当初の時期に留まる,といった場合には許容されます(下記2の≪許可事例≫④及び≪不許可事例≫⑥参照)。

このようなケースに該当する場合には,当該企業に雇用される従業員(日本人を含む)の入社後のキャリアステップや各段階における具体的な職務内容と当該研修の内容との関係等に係る資料の提出をお願いすることがあります。

また,業務に従事する中で,一時的に「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業務を行わざるを得ない場面も想定されます(例えば,フロント業務に従事している最中に団体客のチェックインがあり,急遽,宿泊客の荷物を部屋まで運搬する1 別紙4 ことになった場合など)。

こうした場合に当該業務を行ったとしても,入管法上直ちに問題とされるものではありませんが,結果的にこうした業務が在留における主たる活動になっていることが判明したような場合には,「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行っていないとして,在留期間更新を不許可とする等の措置がとられる可能性があります。

(1)申請人が「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務」に従事しようとする場合は,従事する業務について次のいずれかに該当し,これに必要な技術又は知識を修得していること。

① 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し,又はこれと同等以上の教育を受けたこと。

② 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと。

※ただし,「専門士」又は「高度専門士」の称号が付与された者に限られます。

③ 10年以上の実務経験(大学,高等専門学校,高等学校,中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。

≪留意点≫

・ 従事しようとする業務は,学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的技術又は知識を必要とするものであって,単に経験を積んだことにより有している知識では足りず,学問的・体系的な技術・知識を必要とする業務でなければなりません。

・ 従事しようとする業務と大学等又は専修学校において専攻した科目とがある程度関連していることが必要となります。なお,①の大学(本邦所在・外国所在を問わない)を卒業した者については,大学の教育機関としての性格を踏まえ,専攻科目と従事しようとする業務の関連性は比較的緩やかに判断することとしています。

(2)申請人が「外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」に従事しようとする場合は,次のいずれにも該当していること。

① 翻訳,通訳,語学の指導,広報,宣伝又は海外取引業務,服飾若しくは室内装飾に係るデザイン,商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。

② 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし,大学を卒業した者が翻訳,通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は,この限りでない。

≪留意点≫

・ 当該業務は,外国に特有な文化に根ざす一般の日本人が有しない思考方法や感受性を必要とする業務であって,外国の社会,歴史・伝統の中で培われた発想・感覚を基にした一定水準以上の専門的能力を必要とするものでなければなりません。

(3)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

2 具体的な事例

(注)以下に挙げている事例は許可・不許可の一例であり,個々の事案についての可否は個別の審査を経て判断されますのでご留意ください。

≪許可事例≫

① 本国において大学の観光学科を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本邦のホテルとの契約に基づき,月額約22万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの

② 本国において大学を卒業した者が,本国からの観光客が多く利用する本邦の旅館との契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,集客拡大のための本国旅行会社との交渉に当たっての通訳・翻訳業務,従業員に対する外国語指導の業務等に従事するもの

③ 本邦において経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の空港に隣接するホテルとの契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,集客拡大のためのマーケティングリサーチ,外国人観光客向けの宣伝媒体(ホームページなど)作成などの広報業務等に従事するもの

④ 本邦において経営学を専攻して大学を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本邦のホテルとの契約に基づき総合職(幹部候補生)として採用された後,2か月間の座学を中心とした研修及び4か月間のフロントやレストランでの接客研修を経て,月額約30万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客からの要望対応,宿泊プランの企画立案業務等に従事するもの

⑤ 本邦の専門学校において日本語の翻訳・通訳コースを専攻して卒業し,専門士の称号を付与された者が,外国人観光客が多く利用する本邦の旅館において月額約20万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた案内,外国語版ホームペ-ジの作成,館内案内の多言語表示への対応のための翻訳等の業務等に従事するもの

⑥ 本邦の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務を専攻し,専門士の称号を付与された者が,宿泊客の多くを外国人が占めているホテルにおいて,修得した知識を活かしてのフロント業務や,宿泊プランの企画立案等の業務に従事するもの

⑦ 海外のホテル・レストランにおいてマネジメント業務に10年間従事していた者が,国際的に知名度の高い本邦のホテルとの契約に基づき,月額60万円の報酬を受けてレストランのコンセプトデザイン,宣伝・広報に係る業務に従事するもの

≪不許可事例≫

① 本国で経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦のホテルに採用されるとして申請があったが,従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ,主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

② 本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館において,外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが,当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており,申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの

③ 本邦で商学を専攻して大学を卒業した者が,新規に設立された本邦のホテルに採用されるとして申請があったが, 従事しようとする業務の内容が,駐車誘導,レストランにおける料理の配膳・片付けであったことから,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

④ 本邦で法学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館との契約に基づき月額約15万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた予約対応や外国人宿泊客の館内案内等の業務を行うとして申請があったが,申請人と同時期に採用され,同種の業務を行う日本人従業員の報酬が月額約20万円であることが判明し,額が異なることについて合理的な理由も認められなかったことから,報酬について日本人が従事する場合と同等額以上と認められず不許可となったもの

⑤ 本邦の専門学校において服飾デザイン学科を卒業し,専門士の称号を付与された者が,本邦の旅館との契約に基づき,フロントでの受付業務を行うとして申請があったが,専門学校における専攻科目と従事しようとする業務との間に関連性が認められないことから不許可となったもの

⑥ 本邦の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務等を専攻し,専門士の称号を付与された者が,本邦のホテルとの契約に基づき,フロント業務を行うとして申請があったが,提出された資料から採用後最初の2年間は実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であることが判明したところ,これらの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には該当しない業務が在留期間の大半を占めることとなるため不許可となったもの

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