簡易帰化(要件緩和)の9つのケース
簡易帰化とは?
帰化の要件には、こちらのページでご説明した要件が基本となっていますが、下記に記載する要件に当てはまるかたの場合には、帰化の要件の一部が緩和されます。このことを簡易帰化と呼んでいます。
それでは、以下に該当する要件を説明していきます。
①日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの(国籍法6条1号))
もともと日本人(現在は別の国籍)だった父、母または両親が、海外へ移住し、自分も外国籍になった場合などが当てはまります。
父や母は外国籍のまま、自分が日本国籍になろうとする場合には、「日本国民であった者の子」に該当しますので、引き続き3年以上日本に住めばこの要件に該当するということになります。
この要件に該当する場合には、普通帰化の住所要件(引き続き5年以上)が緩和され、引き続き3年以上日本に住んでいれば住所要件を満たすことになります。
②日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの(で現に日本に住所を有するもの)(国籍法6条2号)
日本で生まれた特別永住者(在日韓国人/在日朝鮮人)の方が当てはまることが多いです。
日本生まれの外国人の方や、両親のいずれかが日本生まれである場合に、①同様、緩和された住所要件にて帰化申請を行うことが可能になります。
③引き続き十年以上日本に居所を有する者(で現に日本に住所を有するもの)(国籍法6条3号)
②同様、在日韓国人/在日朝鮮人の方の多くが当てはまる要件になります。
特別永住者の方以外でも、留学生として日本に来て大学院まで卒業されている方などが当てはまります。
この③についても住所要件が緩和されます。
通常は3年以上の就労経験が必要ですが、1年以上の就労経験で要件を満たすという例外も、簡易帰化のこの要件に該当するためです。
④日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの(国籍法7条前段)
日本人と国際結婚した外国籍の方で、日本に住んでいる人が当てはまります。
この要件の注意点としては、結婚後3年以上ではなく、「日本国民の配偶者たる外国人」で、日本に3年以上住んでいればいいということです。
日本に引き続き3年以上住んでいる外国籍の方であれば、日本人と結婚した時点でこの要件を満たします。
※法律上婚姻が成立している必要があります。事実婚ではこの要件を満たせません。
④に該当する場合は、住所要件と能力要件が緩和されます。
それぞれ、5年以上日本に住んでいなくても(3年以上は住んでいる必要あり)、20歳未満でも帰化申請を行うことが可能です。
⑤日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するもの(国籍法7条後段)
日本人と国際結婚した外国籍の方が対象という点は④と同様です。
こちらの場合は、日本人と国際結婚して海外で生活していた外国籍の方が、夫婦で来日して日本で結婚生活を始めた場合などが当てはまります。
例えば、日本人と結婚して2年間海外(母国等)で生活していたが、家庭の事情等で日本で暮らすこととなり、1年が経過したという外国籍の方であれば、この要件を満たします。
⑤に当てはまる場合も、④同様、住所要件(1年以上は日本に住む必要あり)と能力要件が緩和されます。
⑥日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの(国籍法8条1号)
父母または両親が先に日本に帰化して子どもが後に帰化する場合
や、日本人の子で国籍選択の際に日本を選択しなかったが、後に帰化する場合などが当てはまります。
父、母または両親が日本国籍であるが、自分は日本国籍ではないといった場合に、日本に住んでいればこの要件を満たすことになります。
この要件を満たした場合には、住所要件、能力要件、生計要件が緩和されます。
日本人の子なので緩和される要件が多くなります。
安定した生活基盤を持っている必要はありません。
⑦日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの(国籍法8条2号)
父または母が国際結婚にて日本人と再婚し、その再婚相手の日本人(義理の父または母)と、未成年のときに養子縁組をした外国籍の方が当てはまります。
未成年のときに連れ子として日本に来て、母が日本人と再婚、義理の父と養子縁組したようなケースです。
この場合、引き続き1年以上日本に住み、養子縁組時にも未成年であれば要件を満たすことになります。
こちらも⑥同様、住所要件(1年以上日本に住む必要あり)、能力要件、生計要件が緩和されます。
⑧日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの(国籍法8条3号)
もともと日本人だったけれども、他国に帰化した人が当てはまります。
ただし、一度日本への帰化経験があり、現在外国籍という方は該当しません。
⑧についても、住所要件、能力要件、生計要件が緩和されます。
⑨日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの(国籍法8条4号)
出生地主義を採用している国の国籍を持つ両親により、日本で生まれた子どもが当てはまります。
日本は血統主義を採用しているため、両親がともに日本人でない場合には、日本で生まれたからといって日本国籍とはなりません。
他方、出生地主義を採用している国の場合、自国や自国船内で出生しなければ国籍は与えられません。
そのため、出生地主義の国の国籍を持つ両親が日本で子どもを産んだ場合、子どもは無国籍となります。
こちらに該当する場合も、住所要件、能力要件、生計要件が緩和されます。
以上が帰化要件が緩和される簡易帰化の要件となります。
ただし、上記の要件を満たしているからといって、基本となる帰化申請の要件である
・能力(年齢)要件
・素行要件
・生計要件
・重国籍不可
・憲法順守
に関しては無視してよいわけではありませんので、誤解のないようにお願いいたします。
帰化に関しては以下の記事も参考になりますので是非こちらもご覧ください。
関係法令等
リンク先:e-gov法令検索
参考リンク
帰化許可申請(リンク先:法務省)
国籍(リンク先:東京法務局)
参考書籍・参考文献
帰化・永住・在留許可申請業務(リンク先:Amazon)
国籍の得喪と戸籍実務の手引き(リンク先:Amazon)
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