経営・管理ビザの審査ポイント
「経営・管理」の在留資格は、事業の経営・管理業務に外国人が従事することができるようにするために設けられたものである。
(注) 「経営・管理」の在留資格は,平成26年の法改正により (旧)「投資・経営」の 在留資格を改正して設けられた。「投資・経営」の在留資格は,「経営・管理」の在 留資格と異なり,外国人が我が国に投資していることを前提とするもので,これは, 日米友好通商航海条約において,「いずれの一方の締約国の国民も,(a)両締約国 の領域の間における貿易を営み,若しくはこれに関連する商業活動を行う目的をもつ て,(b)当該国民が相当な額の資本を投下した企業若しくは当該国民が現に相当な 額の資本を投下する過程にある企業を発展させ,若しくはその企業の運営を指揮する 目的をもつて,又は(c)外国人の入国及び在留に関する法令の認めるその他の目的をもつて,他方の締約国の領域に入り,及びその領域に在留することを許される(第 1条1項)。」と定められ,また,他の条約にも最恵国待遇の規定があることから, これらの規定を担保するものとして,外資の参入している企業の経営・管理業務に従事する外国人の受入れのため平成元年の法改正において創設されたものである。
在留資格の決定時
ア 事業の経営を開始する又は事業の経営を行う活動
(ア)事業所の存在・確保(基準省令第1号)
①申請書の「勤務先」, 「事業所の状況」欄の記載により,基準に適合するかを確認する。
②所属機関がカテゴリー3又は4の事業の場合は,事業所用施設の存在を明らかにする「不動産登記簿謄本」及び「賃貸借契約書」その他の立証資料により確認する。
(注)1号本文は,既に存在する貿易その他の事業に投資してその経営を行うか,当該事業の管理に従事する場合に適用される基準であることから,その事業所について「存在すること」を要件としているが, 1号ただし書きは,貿易その他の事業を「開始しようとする」場合について定めており,事業所について「事業所として使用する施設が確保されていること」で足りる。
(イ)規模(基準省令第2号)
①申請書の「勤務先」,「活動内容」,「給与・報酬」欄の記載により、事業の規模が基準2号に該当するかを確認する。
②所属機関がカテゴリー3又は4の事業の場合は、事業の規模については,二人以上の常勤職員を雇用する場合は,「当該職員の賃金支払に関する文書及び住民票,在留カード又は特別永住者証明書の写し」,資本金等の額が500万円以上の場合は、「当該法人の登記事項証明書の写し」の立証資料により確認する。
イ 会社を設立して事業の経営を開始しようとする者について
(ア)法人の登記が完了していない場合
事業を開始しようとする場合であって,法人の登記が完了していないときは,「定款その他当該法人を設立しようとしていることを明らかにする書類の写し」により, 法人の登記が予定されていることを確認する。
(イ)事業所の確保(基準省令第1号)
上記ア(ア)を参照。なお,賃貸借契約の締結に至っていない場合は,「事業所の概要を明らかにする資料」として,例えば,賃貸を検討している物件について説明する資料(場所,広さ,予算等が記載されたもの)により確認する。
(ウ)規模(基準省令第2号)
上記ア(イ)を参照。なお,法人の登記が完了していないため,「当該法人の登記事項証明書の写し」の提出が困難な場合は,「定款その他当該法人を設立しようとしていることを明らかにする書類の写し」により,設立に際して出資される金額を確認する。
(注)後記第2の4「我が国で会社を設立して経営を行おうとする者に関する留意事項」を参照。
ウ 事業の管理に従事する活動
(ア)事業所の存在(基準省令第1号)
上記ア(ア)を参照。
(イ)規模(基準省令第2号)
上記ア(イ)を参照。
(ウ)経験及び報酬(基準省令第3号)
①「事業の経営又は管理についての3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)」について
・申請書の「最終学歴」, 「専門・専攻分野」,「事業の経営又は管理についての実務経験年数」,「職歴」欄により確認する。
・ 所属機関がカテゴリー3又は4の場合, 「関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書」,及び「関連する職務に従事した期間を証する文書(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。)」の立証資料により確認する。
②「日本人と同等額以上の報酬」について
・申請書の「給与・報酬」,「職務上の地位」欄により確認する。
・カテゴリー3又は4の場合は,「申請人の活動内容等を明らかにする次のいずれかの資料」により報酬額を確認する。
・会社の役員に就任する場合は,役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては 同委員会の議事録)の写し
・外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合は,地位 (担当業務),期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書
・日本において管理者として雇用される場合は,労働基準法15 条1項及び同法施行規則5条に基づき,労働者に交付される労働条件を明示する文書
在留期間の更新時
申請資料に加え,カテゴリー3又は4の事業の場合は, 「直近年度の決算文書の写し」及び「住民税の課税(又は非課税)証明書」により,また,カテゴリー4の場合,さらに「外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料」により,在留資格該当性及び上陸基準適合性について問題がないかを確認する。
また,申請人が運営する企業等が消費税の不正還付に関して重加算税の賦課決定処分を受けた場合(処分が確定している場合)は,原則として不許可とし,(略)引き続き在留を認めるに足りる相当な理由がある場合は,意見を付して本庁へ請訓する(その他の詳細及び取扱いについては, 第1節第10を参照する。)。
なお,「4月」の在留期間が決定されている者は,株式会社等が設立されていない段階で上陸許可した者であるため(第2の4参照),在留期間の更新時に「登記事項証明書」の提出を求め、その提出がない場合は,在留資格認定証明書交付申請時に提出された資料(事業計画書や法人を設立しようとしていることを明らかにする資料等)との整合性等,在留期間の更新の可否を慎重に審査する。
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