【図あり】合同会社と株式会社で迷っている人へ
近年、働き方改革や副業解禁など、国の政策などの後押しもあり、フリーランス、独立、起業といったことが以前よりも身近に感じられるようになりました。
そのような中、今の仕事を辞めて独立したり、副業として起業したりすることを検討する場合、会社を設立するということも選択肢の一つとして考えられますが、そこで最初に出てくる疑問がこのことではないでしょうか。
会社形態について考えるときに真っ先に思い浮かぶのは株式会社だと思いますが、最近では「合同会社」という形態の会社も少しずつ増えてきています。
今回は合同会社とはどのような会社で株式会社との違いは何か、簡単なチャート図なども使いながら説明します。
合同会社とは
まず初めに、このことを覚えておいてください。
合同会社では、お金を出した人が経営もする。
当たり前のことのように感じるかもしれませんが、これが株式会社との一番の違いです。
これはどういうことかというと、「(個)人」という経営資源にスポットが当たった法人組織であると言えます。
この組織形態は現代のビジネスに当てはめやすい側面が多くあると思います。
例えば、コンサルティングやネット物販など、小資本で個人ビジネスのように始められる多くのプラットフォームが現代では数多く存在し、フリーランスと呼ばれる「個」のノウハウやアイデアが、会社の価値や経営資源となるような事業形態がとても多くあります。
株式会社が「資本ありき」であれば、合同会社は「人ありき」といった側面があります。
それでは次に、それぞれのメリットデメリットについて見ていきましょう。
合同会社のメリットデメリット
2005年に新しく制度ができたこの合同会社ですが、そこにはメリットとデメリットがあります。筆者なりに思うところを下記に例示致します。
※株式会社の場合は基本的に上記の逆と思ってください。
では次項より、上記の各項目について解説していきます。
デメリット①事業規模拡大に向かない
合同会社の場合、前項にてご説明した通り、「出資者」=「経営者」となります。これは言い換えると、出資したら必然的に経営もするという意味です。
大規模な資金調達などを行う際の、いわゆる第三者割当増資が行えません。
よくネットニュースなどで、スタートアップやベンチャー企業の○○が、大手企業やエンジェル投資家などから、○○億円の資金調達を受けた!などといった話題を目にする機会があるかと思いますが、これは一般的に、その企業の株を大手企業が保有する(買う)ことで、その購入資金がベンチャー企業に入るという仕組みになっています。
これはすなわち株式会社ならではの資金調達形態であり、出資した投資家がその企業の経営にまで参画するかと言ったら必ずしもそういったわけではありません。(中には経営に参画する場合もあります。)
デメリット②事業承継がしにくい
①と似通った部分はありますが、例えば外部から役員を呼んだり、社長を誰かに譲るといった状況となった場合に、株式会社であれば株式の売却等で実質的な経営権の移転などがしやすいのですが、合同会社の場合は、どうしても人と会社が一体になっている要素が強いので、そういったことに柔軟に対応することができません。
さらに合同会社の場合、出資者が亡くなった場合でも、出資者の地位は当然には相続対象にはなりません。(「定款」で、出資者の地位は相続の対象になる旨を別途定めれば可能)株式会社であれば、株式が相続の対象となるので、例えば配偶者や子などに事業(会社の財産)を承継させることが可能です。
また、社員(出資者)が退職するとなれば、出資額の返還をしなければならないわけですが、会社が成長していればその分の成果も合わせて返還をすることとなり、金額面で争いが起きたり、会社に現金がない場合は事業資産の売却などといったことも起こりかねません。
メリット①意思決定の自由さ
合同会社は株式会社と違い、株主総会や取締役会といった機関設計の必要はありません。
その分自由で迅速な意思決定が可能とされています。
もし社員(出資者)が2名以上の場合でも、合同会社の場合は原則、出資金額の比率ではなく社員(出資者)一人につき一票の議決権(過半数で決議)となります。
定款の定めにより、社員(出資者)の中から「業務執行社員」を選定することができます。その場合は、会社の意思決定権はこの業務執行社員のみが持つようになります。業務執行社員を選定した時点で、それ以外の社員(出資者)は意思決定権を無くすことになります。
メリット②コストが安い
ここで合同会社と株式会社の設立にかかる費用を下記にまとめてみます。
株式会社 | 合同会社 | |
定款印紙代(公証役場) | 電子定款0円(紙定款4万円) | 電子定款0円(紙定款4万円) |
定款認証手数料(公証役場) | 5万円 | 不要 |
定款の謄本代(公証役場) | 約2,000円 | 不要 |
会社実印(はんこ屋=弊社) | 設立セット割引あり | 設立セット割引あり |
登録免許税(法務局) | 15万円 | 6万円 |
合 計 | 20.2万円 | 6万円 |
上記を見ても、合同会社のほうが圧倒的に設立費用が安いです。
さらに、維持コストという部分では、株式会社の場合は取締役の任期は最大10年という規定があり、再任の場合でも1万円の登録免許税が掛かります。合同会社の場合は役員の任期といったものは存在しません。
チャート図でまとめると
今まで比較してきた事をまとめると、概ね以下のような事となります。
いかがでしょうか。
もちろんこの図が全ての判断基準というわけにはいきませんが、ぱっと見、自分はどちらが適しているのか参考になれば幸いです。
当店にて詳しい相談も承っておりますので、お気軽にお声掛け下さいませ。
投稿者プロフィール
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JR板橋駅すぐのハンコ印刷センター代表/行政書士の青木寛明です。
先代が営んでいたはんこ屋を引き継ぎ運営する傍らで、行政書士事務所を店舗内に併設しています。
気軽に何でも相談できる場所を目指しています。
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