特定技能所属機関に関する基準
<法第2条の5第3項>
特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関は,次に掲げる事項が確保されるものとして法務省令で定める基準に適合するものでなければならない。
1号 前2項の規定に適合する特定技能雇用契約(第19条の19第2号において「適合特定技能雇用契約」という。)の適正な履行
2号 第6項及び第7項の規定に適合する第6項に規定する1号特定技能外国人支援計画(第5項及び第4章第1節第2款において「適合1号特定技能外国人支援計画」という。)の適正な実施
出入国管理及び難民認定法第2条の5第3項
<特定技能基準省令第2条第1項>
(特定技能雇用契約の相手方となる本邦の公私の機関の基準)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=431M60000010005
(1) 特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準
ア 労働,社会保険及び租税に関する法令の遵守
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
1号 労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
特定技能所属機関に対し,労働関係法令,社会保険関係法令及び租税関係法令を遵守していることを求めるもの。
(イ) 用語の定義
a 労働関係法令
(a)「労働関係法令」とは,労働基準法,労働契約法,労働安全衛生法,労働者派遣法,最低賃金法,雇用保険法及び労働者災害補償保険法等の労働に関する法令一般をいう。
(b)「労働関係法令を遵守している」とは,具体的には以下の場合をいう。
i 雇用契約が労働基準法等に違反していないこと。
ii 雇用保険及び労災保険(以下「労働保険」という。)の適用事業所である場合は,当該保険の加入手続を適切に行い,保険料を適切に納付していることが求められる。
なお,労災保険の適用事業所でない場合は,特定技能基準省令第2条第1 項第10号の規定により,特定技能外国人を労働保険に代わる民間保険に加入させていることを求めることとしている。
iii特定技能外国人と特定技能所属機関の雇用関係の成立のあっせんを行う者が存在する場合にあっては,職業安定法第30条,第33条及び第33条の3の規定に基づく無料職業紹介の届出若しくは許可又は有料職業紹介事業の許可を得ている者から求人のあっせんを受けていること(特定技能外国人が船員職業安定法上の船員に該当する場合は,職業紹介事業者が同法第34条
の規定に基づく無料の船員職業紹介事業の許可を得ていること)。
b 社会保険関係法令
(a)「社会保険関係法令」とは,健康保険法,厚生年金保険法,国民健康保険法,国民年金法等の社会保険に関する法令一般をいう。
(b)「社会保険関係法令を遵守している」とは,健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合には,当該保険の加入手続を行っていること,及び雇用する従業員の健康保険及び厚生年金保険の資格取得手続を行い,保険料を適切に納付(換価の猶予、納付の猶予又は納付受託の適用を受けている場合を含む。)していることが求められる。
なお,特定技能所属機関が個人事業主である場合は,当該個人事業主自身が国民健康保険及び国民年金保険に加入し,所定の保険料を適切に納付(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託の適用を受けている場合を含む。)していることが求められる。
c 租税関係法令
(a)「租税関係法令」とは,所得税法、法人税法、地方税法等の租税に関する法令一般をいう。
(b)「租税関係法令を遵守している」とは,国税(所得税,法人税等)又は地方税(住民税等)を適切な時期に納付していることをいい,特定技能外国人から特別徴収(注)制度に基づき徴収をした所得税や住民税を納入していない場合等は、租税関係法令を遵守しているとは認められない。
(注)特別徴収とは,税や社会保険料を本来の納税義務者である個人から直接徴収し納付させるものではなく,当該納税義務者が得る給与や公的年金を支払 う事業者(特別徴収義務者)が税金等を代わって預かり(天引き),その徴収すべき税金等を納入するもの。
(ウ)審査のポイント
申請書(所属機関等作成用V)の記載から,労働関係法令,社会保険関係法令及び租税関係法令を遵守していることを確認するとともに,以下のaからcまでについて確認する。
a 労働関係法令の遵守
(a) 特定技能所属機関が労働関係法令の規定に違反する行為を行っていないことを確認する。その結果,労働基準監督機関から、労働基準関係法令に違反するとして是正勧告を受けている場合には,労働基準監督機関に是正報告書を提出し、労働基準関係法令に違反している状況を是正していることを確認する。
(b)申請書(所属機関作成用V)の記載から,特定技能所属機関が労働保険の適用事業所である場合であって,特定技能外国人を初めて受け入れる場合にあっては労働保険料等納付証明書(未納なし証明),受入れを継続している場合にあっては直近1年分の領収証書の写し及び労働保険概算・増加概算・確定保険料 申告書(事業主控)の写しの記載から、労働保険に加入していること及び保険料に未納がないことを確認する。また,労働保険事務組合に事務委託している事業場については,直近1年分の領収書及び労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控え)に替えて,事務組合が発行した直近1年分の労働保険領収書の写し及び労働保険料等納入通知書の写しの提出を求めることとする。
なお,労働保険の適用状況に疑義がある場合は,労働保険適用事業所検索システム(厚労省ホームページから確認可能)を活用し,当該機関の労災保険の適用状況を確認する。
(c)労働保険料等納付証明書(未納なし証明)等の記載から,保険料の滞納がないことを確認し,保険料の滞納がある場合には速やかに保険料を納付するよう指導するとともに,当該指導からおおむね1か月後又は特例期間の満了日の1か月前のいずれか早い日までを目安に保険料を納付したことを示す資料の提出を求める。
(d) 指定した期間内に、保険料を納付したことを示す資料が提出された場合には、保険料の納付義務を履行しているものと評価する。
(e)なお,申請人に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請後最初の在留期間更新許可申請の際には,雇用保険被保険者資格取得確認通知書(事業主控)の写しの記載から,申請人が雇用保険に加入していることを確認することとなる。
(f)申請書(所属機関等作成用V)及び雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)の記載から,特定技能外国人と特定技能所属機関の雇用関係の成立のあっせんを行う者の氏名又は名称,所在地等を確認し,当該者が職業安定法の届出を行っていること,又は無料若しくは有料の職業紹介事業許可を得てい ることの立証資料として,厚生労働省職業安定局ホームページの「人材サービス総合サイト」における当該職業紹介事業者の許可に係るページの画面の写し が提出されていることを確認する。
なお,申請人が特定技能所属機関に過去に雇用されておらず,今回初めて雇用される場合には,あっせん者の存在が疑われることから,関係者から事情を聴取するなど,必要な調査を実施する。当該あっせん者が職業安定法の届出を行っていなかったり,又は許可を受けていないと認められる場合には,公共職業安定所(ハローワーク)に情報提供する。
(g)また,当該あっせんを行う者が存在する場合であって,国外に取次機関が存在する場合には,本制度又は技能実習制度に係る二国間取決めに基づき,相手国政府が認定した送出機関に該当することを確認し,該当しない場合には,当該取次機関が保証金徴収を行っていないことについて,慎重に審査を行う。
b 社会保険関係法令の遵守
(a) 健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合
i 申請書(所属機関作成用V)の記載から,特定技能所属機関が健康保険及び厚生年金保険の適用事業所であることを確認する。
ii 健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(在留諸申請の日の属する月の前々月までの24か月分全て)又は社会保険料納入状況照会回答票の記載から,健康保険及び厚生年金保険に加入していること及び(略)を確認する。
なお,健康保険・厚生年金保険料の納付から社会保険料納入状況照会回答票への納付記録の反映までに時間を要することから,納付状況の反映前に同回答票を提出している場合には,社会保険料納入状況回答票に加え,該当する月の健康保険・厚生年金保険料領収証書の写しも提出するよう指示する。
iii 健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(在留諸申請の日の属する月の前々月までの24か月分全て)又は社会保険料納入状況照会回答票(健康保険組合管掌の適用事業所であって,領収証書の写しの提出が困難である場合は,社会保険料納入状況照会回答票に加え,管轄の健康保険組合が発行する健康保険組合管掌健康保険料の納付状況を証明する書類を求める。)の記載から(略)が判明した場合には速やかに保険料を納付するよう指導するとともに,当該指導からおおむね1か月後又は特例期間の満了日の1か月前のいずれか早い日までを目安に保険料を納付したことを示す資料の提出を求める。
iv なお,速やかに保険料の納付ができない場合には日本年金機構の年金事務所に保険料の納付に係る相談を行わせた上,猶予制度(分割納付)の許可を受けた場合には,納付の猶予許可通知書の写し又は換価の猶予許可通知書の写しを提出するよう案内する。
v 指定した期間内に,保険料を納付したことを示す資料,又は納付の猶予許可通知書の写し若しくは換価の猶予許可通知書が提出された場合には,保険料の納付義務を履行しているものと評価する。
(b) 健康保険及び厚生年金保険の適用事業所でない場合
i 申請書(所属機関作成用V)の記載から,特定技能所属機関が健康保険及び厚生年金保険の適用事業所でないことを確認する。
ii 国民健康保険
・特定技能所属機関の事業主本人の国民健康保険被保険者証の写しの記載から,国民健康保険に加入していることを確認する。
・国民健康保険料(税)納付証明書の記載から, (略)を確認する。
・なお,速やかに保険料の納付ができない場合には市町村役場に保険料の納付に係る相談を行わせた上,納付(税)緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)を受けた場合には,納付(税)緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)の適用がある旨の記載がある納付(税)証明書又は納税緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)に係る通知書の写しを提出するよう案内する。
・指定した期間内に国民健康保険料(税)納付証明書,納付(税)緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)の適用がある旨の記載がある 納付(税)証明書又は納付(税)緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)に係る通知書の写しが提出された場合には,保険料の納付義務
を履行しているものと評価する。
iii 国民年金保険
・ 特定技能所属機関(事業主)の被保険者記録照会回答票の記載から,特定技能所属機関(事業主)が国民年金保険に加入していること及び過去2年間に国民年金保険への加入期間を有していることを確認する。
・特定技能所属機関(事業主)の国民年金保険料領収証書の写し(在留諸申請のあった日の属する月の前々月までの24か月分全て)又は被保険者記録照会(納付II)の記載から,(略)を確認する。
・国民年金保険料領収証書の写し(在留諸申請のあった日の属する月の前々月までの24か月分全て)又は被保険者記録照会(納付I)の記載から(略)速やかに保険料を納付するよう指導するとともに,当該指導からおおむね1か月後又は特例期間の満了日の1か月前のいずれか早い日までを目安に保険料を納付したことを示す資料の提出を求める。
・ 指定した期間内に保険料を納付したことを示す資料が提出された場合には,保険料の納付義務を履行しているものと評価する。
c 租税関係法令の遵守
(a)特定技能所属機関が法人の場合
i 国税に係る税目を源泉所得税及び復興特別所得税,法人税,消費税及び地方消費税とする納税証明書(その3)並びに地方税に係る税目を法人住民税とする納税証明書の記載から,当該税目に係る税の未納がないことを確認する。
ii 各納税証明書の記載から各税目に未納があることが判明した場合には速やかに未納がある税を納付するよう指導するとともに,当該指導からおおむね1か月後又は特例期間の満了日の1か月前のいずれか早い日までを目安に未納がある税を納税したことを示す資料の提出を求める。
iii なお,速やかに税の納付ができない場合には管轄の税務署又は市町村に税 の納付に係る相談を行わせた上,法定の納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用を受けた場合には,未納がある税目に係る「未納税額のみ」の納税証明書で備考欄に換価の猶予,納税の猶予又は納付受託中である旨の記載があるもの又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写しを提出するよう案内する。
iv 指定した期間内に,未納があった税目に係る納税証明書,納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用がある旨の記載がある納税証明書又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写しが提出された場合には,納税義務を履行しているものと評価する。
(b)特定技能所属機関が個人事業主の場合
i 国税に係る税目を源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税とする納税証明書(その3)並びに地方税に係る税目を個人住民税とする納税証明書の記載から,当該税目に係る税の未納がないことを確認する。
ii 各納税証明書の記載から各税目に未納があることが判明した場合には速やかに未納がある税を納付するよう指導するとともに,当該指導からおおむね1か月後又は特例期間の満了日の1か月前のいずれか早い日までを目安に未納がある税を納税したことを示す資料の提出を求める。
iii なお,速やかに税の納付ができない場合には管轄の税務署又は市町村に税の納付に係る相談を行わせた上,法定の納税緩和措置(換価の猶予、納税の猶予又は納付受託)の適用を受けた場合には,未納がある税目に係る「未納税額のみ」の納税証明書で備考欄に換価の猶予,納税の猶予又は納付受託中である旨の記載があるもの又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写しを提出するよう案内する。
iv 指定した期間内に,未納があった税目に係る納税証明書,納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用がある旨の記載がある納税証明書又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る許可通知書の写しが提出された場合には、納税義務を履行しているものと評価する。
v なお,後記第7の2(2)のとおり,特定技能外国人本人の納税義務の履行状況を確認するに際して,特定技能外国人が提出した個人住民税の納税証明書の記載から,特定技能所属機関が特定技能外国人から特別徴収をした個人住民税を納付していないことが判明した場合には,特定技能所属機関が,特定技能基準省令第2条第1項第1号の規定に基づき、労働,社会保険及び
租税に関する法令の規定を遵守している旨の基準に適合していないものとして取り扱うこととし,特定技能外国人本人が納税義務を履行していないものと評価しないこととする。
(エ) その他留意事項
a 適用事業所
(a)労働保険の適用事業所
原則として,労働者を1人でも使用していれば,法律上,当然に労働保険に加入することとなるが,次のいずれかに該当する場合は,暫定任意適用事業所とされ,労災保険が当然に適用されるものではない。
i 労働者数5人未満の個人経営の農業であって,特定の危険又は有害な作業を主として行う事業以外のもの
ii 労働者を常時は使用することなく,かつ,年間使用延労働者数が300人未満の個人経営の林業
iii 労働者数5人未満の個人経営の畜産,養蚕又は水産(総トン数5トン未満の漁船による事業等)の事業
(b)健康保険及び厚生年金保険の適用事業所
健康保険及び厚生年金保険の加入が義務付けられている以下の事業所をいう。
i 法人事業所で常時従業員(事業主のみの場合を含む。)を使用するもの
ii 常時5人以上いる従業員が働いている事務所,工場,商店等の個人事業所
※ただし、5人以上の個人事業所であっても, サービス業の一部(クリーニング業,飲食店,ビル清掃業等)や農林漁業等はその限りでない。
iii なお,適用事業所以外の事業所であっても,従業員の半数以上が適用事業所となることに同意し,事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることは可能である。
b 特別徴収
税や社会保険料を本来の納付義務者である個人から直接徴収し納付させるものではなく,当該納付義務者が得る給与や公的年金を支払う事業者(特別徴収義務者)が税金等を代わって預かり(天引き),その徴収すべき税金等を納入させるものである。
c なお
,立証資料については,地方自治体等における各種証明書の発行時期を考慮し,発行可能な直近の証明書を求めるものとする。
(オ)立証資料
a 労働関係法令の遵守
(a)労働保険
i 初めて受け入れる場合
・労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
※ 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)は、「特定技能」の施行に合わせて,厚生労働省において,「特定技能」に係る在留諸申請用に過去全期間において労働保険料等の未納がないことの証明書を発行することとしたもの。
ii 受入れを継続している場合
雇用保険被保険者資格取得確認通知書(事業主控)の写し(申請人に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請後最初の在留期間更新許可申請時に限る。)
・ 直近1年分の領収書の写し又は口座振替結果通知ハガキ(直近1年分)
※口座振替結果通知ハガキを紛失した場合には都道府県労働局が発行する「労働保険料等口座振替結果のお知らせ」の提出を求める。
・労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し
※ 労働保険事務組合に事務委託している事業場については,直近1年分 の領収書の写し及び労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業 主控)に替えて,事務組合が発行した直近1年分の労働保険領収書の写し及び労働保険料等納入通知書の写しの提出を求める。
(b)雇用の経緯
・雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)
・厚生労働省職業安定局ホームページの「人材サービス総合サイト」の画面を印刷したもの
b社会保険関係法令の遵守
(a)健康保険・厚生年金保険の適用事業所である場合
・健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(在留諸申請の日の属する月の前々月から24月分全て)又は社会保険料納入状況照会回答票
・納付の猶予許可通知書の写し又は換価の猶予許可通知書の写し
(b)健康保険・厚生年金保険の適用事業所でない場合
・特定技能所属機関(事業主)の国民年金被保険者記録照会回答票
・特定技能所属機関(事業主)の国民年金保険料領収証書の写し(在留諸申請の日の属する月の前々月から24か月分)又は被保険者記録照会 (納付II)
※ 国民年金保険料領収証書の写し(在留諸申請の日の属する月の前々月から24か月分)を提出する場合は,被保険者記録照会回答票の提出は不要
・特定技能所属機関の国民健康保険被保険証の写し
・特定技能所属機関の国民健康保険料(税)納付証明書
・納付(税)緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)に係る通知書の写し
c, 租税関係法令の遵守
(a) 法人の場合
i 国税
・税目を源泉所得税及び復興特別所得税,法人税、消費税及び地方消費税とする納税証明書(その3)
(未納があった場合)
・未納があった税目に係る納税証明書(その1)【備考欄に法定の納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用がある旨記載がある場合のみ】又は納税緩和措置(換価の猶予、納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写し
ii 地方税
・税目を法人住民税とする納税証明書
(未納があった場合)
・ 未納があった税目に係る納税証明書【備考欄に法定の納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用がある旨記載がある場合のみ】 又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写し
(b) 個人事業主の場合
i 国税
・ 税目を源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税とする納税証明書(その3)
(未納があった場合)
・未納があった税目に係る納税証明書(その1)【備考欄に法定の納税緩和 措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用がある旨記載がある場合のみ】又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写し
ii 地方税
・ 税目を個人住民税とする納税証明書
(未納があった場合)
・ 未納があった税目に係る納税証明書【備考欄に法定の納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)の適用がある旨記載がある場合のみ】又は納税緩和措置(換価の猶予,納税の猶予又は納付受託)に係る通知書の写し
イ 非自発的離職者を発生させていないこと
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
2号 特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後に,当該契約において外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者(次に掲げる者を除く。)を離職させていないこと。
イ 定年その他これに準ずる理由により退職した者
口 自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者
ハ 期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の期間満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了(労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該有期労働契約の期間満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって,当該有 期労働契約の相手方である特定技能所属機関が当該労働者の責めに帰すべき重大な理由その他正当な理由により当該申込みを拒絶することにより当該有期労働契約を終了させる場合に限る。)された者
ニ 自発的に離職した者
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
現に雇用している国内労働者を非自発的に離職させ,その補填として特定技能外国人を受け入れることを排除するため、雇用契約締結の1年前及び当該契約締結後に申請人に従事させる業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないことを求めるもの。
(イ)用語の定義
a 「特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後」とは,特定技能雇用契約の締結の日の1年前のみならず,特定技能雇用契約の締結後も含むものである。
b 「外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者」 とは,特定技能所属機関にフルタイムで雇用されている日本人,中長期在留者及び特別永住者の従業員(パートタイムやアルバイトを含まない。)であって,特定技能外国人が従事する業務と同種の業務に従事していた者をいう。
c 「非自発的に離職させた」とは,以下のような事情に起因して離職させた場合が想定される。
ここでいう離職には,雇止め(期間の定めのある雇用契約を更新しないこと) 及び特定技能所属機関による労働者派遣契約の解除に基づくものも含まれる。
- 人員整理を行うための希望退職の募集又は退職勧奨を行った場合(天候不順や自然災害の発生によりやむを得ず解雇する場合は除く。)
- 労働条件に係る重大な問題(賃金低下,賃金遅配,過度な時間外労働,採用条件との相違等)があったと労働者が判断した場合
- 就業環境に係る重大な問題(故意の排斥,嫌がらせ等)があった場合
(ウ) 審査のポイント
a 申請書(所属機関等作成用V「特定技能」)の記載から,非自発的離職者を発生させていないことを確認する。
b 特定技能所属機関の概要書(参考様式第1-11号)の「3 基準適合性に係る事項」の記載から,特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者の離職状況を確認し,非自発的離職者を発生させていないことを確認する。
c 非自発的離職者はないものの、自発的離職者が多数に及んでいる場合など,非自発的離職者を発生させている疑いがある場合は,労働者名簿(労働基準法施行規則様式第19号)の写しのほか,必要に応じて,公共職業安定所(ハローワー ク)に提出した雇用保険被保険者離職証明書の控えの提出を求めるなどして,離職の理由を確認し,非自発的離職者を発生させていないことを確認する。
d 非自発的離職者の発生人数についての多寡は問わず,1名でも発生させていれば,本基準に適合しないものとして取り扱う。
(エ)その他留意事項
a 「労働者名簿」とは,使用者が事業場ごとに作成し,3年間の保存が義務付けられているものである(労働基準法第107条,第109条)。
b 受入れ後に非自発的離職者を発生させた場合は,当該特定技能所属機関が雇用する他の特定技能外国人も含め、在留期間更新許可が受けられないこととなるため,特定技能外国人の在留期間満了までに転職を行うことができるよう必要な支援を実施することが必要である旨指導・助言を行う。
(オ)立証資料
・特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11号)
(以下,離職者を発生させている疑いがある場合に求める資料)
・労働者名簿の写し
・雇用保険被保険者離職証明書(事業主控え)の写し
ウ 行方不明者の発生
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
3号 特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後に,当該特定技能雇用契約の相手方である特定技能所属機関の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていないこと。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
雇用する外国人について行方不明者が発生している場合は,特定技能所属機関の受入れ態勢に疑義が持たれることから,雇用契約締結の1年前及び当該契約締結後に行方不明者を発生させていないことを求めるもの。
(イ)用語の定義
a 「特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後」とは,特定技能雇用契約の締結の日の1年前のみならず,特定技能雇用契約の締結後も含むものである。
b 「外国人」とは,特定技能所属機関として受け入れた特定技能外国人及び実習実施者として受け入れた技能実習生をいう。
c 「責めに帰すべき事由」とは,特定技能所属機関が雇用条件どおりに賃金を適正に支払っていない場合や1号特定技能外国人支援計画を適正に実施していない場合など,法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間内に,特定技能 外国人が行方不明となった場合をいう。そのような法令違反や基準に適合しない行為が行われていた場合には、人数に関係なく,特定技能外国人の行方不明者を1名でも発生させていれば,本基準に適合しないこととなる。
(ウ)審査のポイント
a 申請書(所属機関等作成用V)及び特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11号)の「3 基準適合性に係る事項」の記載から,特定技能所属機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないことを確認する。
b 特定技能所属機関届出管理台帳(第9編の2別記様式第19号の1)の行方不明者数を確認し,前記a の特定技能所属機関概要書に記載された行方不明者数との間に齟齬がないことを確認する。
なお,特定技能所属機関が行方不明者の発生について速やかに届け出ていない場合(法第19条の18第1項第4号)には,おって基準不適合となることに留意する。
c 行方不明者が発生している場合には,(略)特定技能所属機関が法令違反行為に及び,指導勧告書の交付を受けていないことを確認する。指導勧告書の交付を受けている場合には,指導勧告書で指導を受けた法令違反行為が行方不明者に係るものでないこと等を確認する。
(エ)その他留意事項
活動状況に係る届出において,行方不明者の発生について申告があった場合であって,特段「責めに帰すべき事由」が認められない場合であっても,当該特定技能 所属機関に対し,行方不明者発生防止の観点から,体制の是正を図るよう必要な指 導・助言を行うことが必要である。
(オ)立証資料
特定技能所属機関の概要書(参考様式第1-11号)
エ欠格事由
(ア)関係法令による刑罰を受けたことによる欠格事由
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
4号 次のいずれにも該当しないこと。
(以下省略)
特定技能基準省令第2条第1項
a 要件の内容
一定の刑罰法令に違反し,刑に処せられてから,所定の期間を経過していない者については,特定技能雇用契約の相手方となることができない旨を定めたもの。
b審査のポイント
(a)申請書(所属機関等作成用V)の記載から,欠格事由に該当しないことを確認する。
(b) (略)特定技能所属機関が欠格事由に該当していないことを確認する。
(c)疑義がある場合にあっては,地方検察庁に対し,前科照会することにより確認する。
(d) 特定技能雇用契約の相手方になろうとする者又はその役員が未成年者であり,当該未成年者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しないときは,その法定代理人について前記(b)と同様に確認する。
c その他留意事項
(a)4号イに関し,刑の執行を猶予された者は,執行猶予期間が経過すれば,4号イに該当しないことに留意する。
(b)特定技能雇用契約の相手方になろうとする者が検察庁から起訴され,裁判中のため刑が確定していない場合については,今後,刑が確定した場合に欠格事由に該当する可能性があるため,在留資格認定証明書交付申請については,刑が確定するまで欠格事由に係る判断を留保する。
d 立証資料
・住民票写し(特定技能所属機関が個人事業主の場合)
・登記事項証明書及び役員の住民票写し(特定技能所属機関が法人の場合)
※役員の住民票写しについては,特定技能外国人受入れに関する業務執行に直接的に関与しない役員に関しては、住民票写しに代えて,特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式1-23号)の提出でも差し支えない。
(イ) 行為能力等の観点からの欠格事由
(略)
(ウ) 実習認定を取り消されたことによる欠格事由
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
4号 次のいずれにも該当しないこと。
ト 技能実習法第16条第1項の規定により実習認定を取り消され,当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
チ 技能実習法第16条第1項の規定により実習認定を取り消された者が法人である場合(同項第3号の規定により実習認定を取り消された場合については,当該法人が前記ロ又はニに規定する者に該当することとなったことによる場合に限る。)において,当該取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に当該法人の役員(業務を執行する社員,取締役,執行役又はこれらに準ずる者をいい,相談役,顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず,法人に対し業務を執行する社員取締役,執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。後記ヲにおいて同じ。)であった者で,当該取消しの日から起算して5年を経過 しないもの
特定技能基準省令第2条第1項
a 要件の内容
技能実習法の規定により実習認定を取り消された者及び実習認定を取り消された者が法人の場合には,当該法人の役員であった者については、所定の期間が経過するまで,特定技能雇用契約の相手方となることができない旨を定めたもの。
b審査のポイント
(a)申請書(所属機関等作成用V)の記載から,欠格事由に該当しないことを確認する。
(b) (略)特定技能所属機関が欠格事由に該当していないことを確認する。
(c) 法人の役員については,疑義がある場合にあっては,外国人技能実習機構に照会を行うことにより確認する。
(d) 特定技能雇用契約の相手方になろうとする者又はその役員が未成年者であり,当該未成年者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しないときは,その法定代理人について前記(b)及び(c)と同様に確認する。
c 立証資料
・住民票写し(個人事業主の場合)
・登記事項証明書及び役員の住民票写し(法人の場合)
※役員の住民票写しについては,特定技能外国人受入れに関する業務執行に直接的に関与しない役員に関しては,住民票写しに代えて,特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式1-23号)の提出でも差し支えない。
(エ)出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたことによる欠格事由(第4号リ,ル及びヲ)
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
4号 次のいずれにも該当しないこと。
(以下省略)
特定技能基準省令第2条第1項
a要件の内容
特定技能雇用契約の締結の日前5年以内又はその締結の日以後に,出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者は,特定技能雇用契約の相手方となることができない旨を定めたもの。
特定技能所属機関における出入国又は労働に関する法令に関する不正又は著しく不当な行為(以下「不正行為」という。)として想定されるものは, 特定技能基準省令第2条第4号リに列挙されているもののほか,特定技能外国人受入れに係る運用要領第5章第2節第1(7)に規定する行為である。
不正行為の類型としては,以下のとおりのものが想定される。
(a)外国人に対して暴行し,脅迫し又は監禁する行為
雇用している外国人に対して暴行,脅迫又は監禁を行っている場合をいう。なお,当該行為によって刑事罰に処せられているか否かを問わない。
(b)外国人の旅券又は在留カードを取り上げる行為
雇用する外国人の旅券や在留カードを,その意思に反して保管している場合をいう。例えば,逃走防止等の名目で旅券・在留カードを取り上げた場合が想定される。
(c)外国人に支給する手当又は報酬の一部又は全部を支払わない行為
雇用する外国人に対し,手当若しくは報酬の一部又は全部を支払わない場合をいう。この「手当又は報酬の一部又は全部を支払わない行為」とは,金額,期間認識等を勘案して評価されるものであり,計算の誤り等により一部報酬等が支払われなかったことは含まれない。なお,食費・住居費等を賃金から控除している場合であっても,控除している金額が適正でない場合には,賃金不払に当たる可能性があることから,労働基準監督機関に通報する。
(d) 外国人の外出その他私生活の自由を不当に制限する行為
外出,外部との通信等を不当に制限している場合をいう。例えば,携帯電話を没収するなどして、外部との連絡を遮断するような行為が該当する。
(e) (a)から(d)までに掲げるもののほか,外国人の人権を著しく侵害する行為
雇用する外国人の人権を著しく侵害する行為(上記(a)から(d)までの行為を除く。)を行っていた場合をいう。例えば,特定技能外国人から人権侵害の被害を受けた旨の申告があり,人権擁護機関において人権侵犯の事実が認められた場合や,特定技能外国人の意に反して預貯金通帳を取り上げていた場合等が想定される。
(f) 偽変造文書等の行使・提供
外国人に係る出入国又は労働に関する法令に関して行われた不正又は著しく不当な行為に関する事実を隠蔽する目的又はその事業活動に関し不正に外国人に在留資格認定証明書の交付,上陸許可の証印若しくは在留資格変更許可等を受けさせる目的で偽変造文書等の行使又は提供をしていた場合をいう。
例えば,在留資格認定証明書交付申請において,欠格事由に該当する行為の有無に関して「無」と記載した申請書を提出したところ,じ後,当局の調査によって当該行為が行われていたことが発覚した場合などは該当することとなることから,各種の申請及び届出においては,事実関係の確認を十分に行う必要がある。
(g) 保証金の徴収等
特定技能外国人やその親族等から保証金を徴収している場合,特定技能雇用契約の不履行について違約金を定めている場合等や,これらの行為を行っている者又は行おうとしている者から紹介を受けて特定技能雇用契約を締結した場合をいう。
例えば,特定技能外国人の特定技能所属機関からの逃走を防止するために,特定技能外国人やその家族等から保証金を徴収したり、逃走した際の違約金を定めていた場合が該当する。また,当局や労働基準監督署等に対して不適格行為を通報すること,休日に許可を得ずに外出すること,業務従事時間中にトイレ等で離席すること等を禁じて,その違約金を定める行為や特定技能外国人やその家族等から商品又はサービスの対価として不当に高額な料金の徴収を予定する契約についても,「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」に該当する。
(h) 届出の不履行又は虚偽の届出
法令上規定する届出事由が生じていながら,地方出入国在留管理局への届出を怠っていた場合や虚偽の届出を行った場合をいう。
例えば,特定技能外国人が失踪したにもかかわらず,これを届け出ることなく,失踪した特定技能外国人が摘発されるなどして初めて,失踪していたことが地方出入国在留管理局で明らかになった場合や,活動状況の届出や支援の実施状況の届出を履行するよう再三指導を受けたにもかかわらず,これを履行しない場合等が該当する。
なお,法第71条の4第1号の規定により罰金の刑に処せられているか否かを問わない。
(i) 報告徴収に対する妨害等
法第19条の20第1項の規定による報告若しくは帳簿書類の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した場合を指す。
なお,法第71条の4第2号の規定により罰金の刑に処せられているか否かを問わない。
(j) 改善命令違反
法第19条の21第1項に基づき,出入国在留管理庁長官から改善命令を受けたにもかかわらず,これに従わなかった場合をいう。
(k) 不法就労者の雇用
①事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせる行為,②外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置く行為又は③業として,①及び②の行為に関しあっせんする行為のいずれかを行い,唆し,又はこれを助けた場合をいう。
(l) 労働関係法令違反
外国人の就労活動に関し,労働基準法,労働安全衛生法,職業安定法等の労働関係法令について違反があった場合をいう(用語の定義については,第2の3(1)ア(イ)を参照)。
(m) 技能実習制度における不正行為
技能実習制度における実習実施者(旧技能実習制度における実習実施機関を含む。)として不正行為を行い,受入れ停止措置となった場合をいう。
b 審査のポイント
(a) 申請書(所属機関等作成用V)の記載から,欠格事由に該当しないことを確認する。
(b) (略)特定技能所属機関が欠格事由に該当していないことを確認する。
(c) 申請書(申請人等作成用V)の記載から保証金徴収の有無を確認するとともに,支払費用の同意書及び明細書(参考様式1-8号)の記載から,特定技能外国人が支払った費用の名目等についても確認をする。
(d) 法人の役員については,疑義がある場合にあっては, (略)過去5年以内の処分の有無について確認する。
(e) 特定技能雇用契約の相手方になろうとする者又はその役員が未成年者であり,当該未成年者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しないときは,その法定代理人について前記(b)及び(d)と同様に確認する。
c 立証資料
・支払費用の同意書及び費用明細書(参考様式第1-8号)
・登記事項証明書
・役員の住民票写し
※ 役員の住民票写しについては,特定技能外国人受入れに関する業務執行に直接的に関与しない役員に関しては、住民票写しに代えて,特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式1-23号)の提出でも差し支えない。
(オ)暴力団排除の観点からの欠格事由
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
4号 次のいずれにも該当しないこと。
ヌ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する 暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5 年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
(以下省略)
特定技能基準省令第2条第1項
オ 活動状況に関する帳簿の備え付け
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正 な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
5号 特定技能雇用契約に係る外国人の活動の内容に係る文書を作成し,当該外国人に当該特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所に当該特定技能雇用契約の終了の日から1年以上備えて置くこととしていること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
特定技能所属機関に対し,特定技能外国人の活動状況に関する文書(帳簿)を作成して1年間備え付け、保存しておくことを求めるもの。
(イ)用語の定義
「活動の内容に係る文書」とは,少なくとも以下の事項が記載されていなければならない。
a 特定技能外国人の管理簿
(a) 特定技能外国人の名簿(必要的記載事項は以下のとおり)
・氏名
・国籍・地域
・生年月日
・性別
・在留資格
・在留期間
・在留期間の満了日
・在留カード番号
・外国人雇用状況届出の届出日
(b) 特定技能外国人の活動状況に関する帳簿(必要的記載事項は以下のとおり)
・活動(就労)場所(派遣形態の場合,派遣先の名称及び所在地)
・従事した業務の内容
・雇用状況(在籍者,新規雇用者,自発的離職者,非自発的離職者,行方不明者)に関する内容
・労働保険(雇用保険及び労災保険)の適用状況
・社会保険(健康保険及び厚生年金保険)の加入状況
・安全衛生(労働災害及び健康診断を含む。)の確保状況
・特定技能外国人の受入れに要した費用の額及び内訳
・特定技能外国人の支援に要した費用の額及び内訳
・休暇の取得状況 (一時帰国休暇の取得状況を含む。)
・行政機関からの指導又は処分に関する内容
b 特定技能雇用契約の内容に係る書類
c 特定技能外国人の待遇に係る事項が記載がされた書類(賃金台帳(労働基準法第108条)等)
d 特定技能外国人の出勤状況に関する書類(出勤簿等の書類)
(ウ) 審査のポイント
申請書(所属機関等作成用V)の記載から,特定技能外国人の活動状況に係る帳簿を作成して、備え付けておくこととしていることを確認する。
(エ)その他留意事項
他の法令で作成等が義務付けられているものについては,別途作成することまでは求めず,当該他の法令に基づき作成等したものを備え付けることで差し支えない。
カ 保証金関係
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
6号 特定技能雇用契約を締結するに当たり,外国人又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該外国人と社会生活において密接な関係を有する者が,当該特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して,他の者に,保証金の徴収その他名目のいかんを問わず金銭その他の財産の管理をされている場合,又は,他の者との間で,当該特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結している場合にあっては,そのことを認識して当該特定技能雇用契約を締結していないこと。
7号 他の者との間で,特定技能雇用契約に基づく当該外国人の本邦における活動に関連して,当該特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約を締結していないこと。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
特定技能所属機関に対し,特定技能外国人の受入れに当たって,保証金を徴収したり,違約金を定める契約を締結したりする悪質な仲介業者(いわゆるブローカー)が介在していないことを求めるもの。
(イ)用語の定義
前記1(7) 「保証金・違約金契約の禁止」を参照。
(ウ)審査のポイント
a 申請書(申請人等作成用及び所属機関等作成用V)の記載から,特定技能外国人が保証金の徴収等をされていないこと及び特定技能所属機関による保証金徴収等の事実が無いことを確認して特定技能雇用契約を締結していること並びに特定技能所属機関が特定技能雇用契約の不履行について違約金等の支払契約を締結していないことを確認する。
b 事前ガイダンスの確認書(参考様式第1-7号)の記載から,保証金・違約金契約は禁止されていることについての説明を行っており,特定技能外国人が同行為を行っていないことについての確認を行っていることを確認する。
c 必要に応じて,特定技能外国人に対して聴取を行い,保証金の徴収等がされていないことを確認する。
(エ)立証資料
事前ガイダンスの確認書(参考様式第1-7号)
キ 支援に要した費用を特定技能外国人に負担させないこととしていること
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
8号 法別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする本邦の公私の機関にあっては,1号特定技能外国人支援に要する費用について,直接又は間接に当該外国人に負担させないこととしていること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
いかなる名目であっても,支援に要した費用を特定技能外国人に直接又は間接に負担させることを認めないもの。
(イ)用語の定義
「支援に要する費用」とは,特定技能外国人に対して行われる特定技能基準省令第3条第1項各号に規定する各種支援(義務的支援)に必要となる費用をいう(登録支援機関への委託費用を含む。)。
当該支援(義務的支援)以外の支援を上乗せして実施する場合は,当該支援に係る費用について特定技能外国人から徴収することは差し支えないが,当該外国人が当該支援を受け,費用を徴収されることについて同意していることが必要である。
(ウ)審査のポイント
a 申請書(所属機関等作成用V)の記載から,支援に要した費用を特定技能外国人に直接又は間接に負担させないこととしていることを確認する。
b 事前ガイダンスの確認書(参考様式第1-7号)の記載から,支援に要する費用を徴収しないことについての説明を行っており,特定技能外国人が説明を受けたことについて同意していることを確認する。
c 1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)の記載から,事前ガイダンスの情報提供項目として,支援に要する費用を徴収しないことを掲げていることを確認する。
d 支援に係る費用を負担させていると疑われるときは, 特定技能所属機関に対し,指導・助言を行う(法第19条の19)。
(エ) 立証資料
・事前ガイダンスの確認書(参考様式第1-7号)
・1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)
ク 派遣元及び派遣先基準
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
9号 外国人を労働者派遣等の対象としようとする本邦の公私の機関にあっては,次のいずれにも該当すること。
イ 外国人を労働者派遣等の対象としようとする本邦の公私の機関が,次のいずれかに該当し,かつ,外国人が派遣先において従事する業務の属する特定産業分野を所管する関係行政機関の長と協議の上で適当であると認められる 者であること。
当該特定産業分野に係る業務又はこれに関連する業務を行っている者であること。
地方公共団体又は(1)に掲げる者が資本金の過半数を出資していること。
地方公共団体の職員又は(1)に掲げる者若しくはその役員若しくは職員が役員であることその他地方公共団体又は(1)に掲げる者が業務執行に実質的に関与していると認められる者であること。
外国人が派遣先において従事する業務の属する分野が農業である場合にあっては、国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)第16条の5第1項に規定する特定機関であること。
ロ 外国人を労働者派遣等の対象としようとする本邦の公私の機関が,第1号から第4号までのいずれにも該当する者に当該外国人に係る労働者派遣等をすることとしていること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
a 特定技能所属機関が派遣元となり特定技能外国人を労働者派遣により受け入れる場合は,特定技能所属機関が以下のいずれかの基準に適合し,かつ,特定産業分野を所管する関係行政機関の長との協議の結果,適当であると認められていることを求めるもの。
なお,労働者派遣によることができるのは、分野別運用方針において,雇用形態として労働者派遣を採ることとしているもの(農業分野及び漁業分野)に限られる。
(a)派遣元である特定技能所属機関が,特定産業分野に係る業務又はこれに関連する業務を行っていること。
(b)地方公共団体又は当該特定技能所属機関が,資本金の過半数を出資していること。
(c)地方公共団体又は特定技能所属機関の職員,役員が業務執行に実質的に関与していること。
(d)特定産業分野が農業の場合,国家戦略特区農業支援外国人を受け入れている特定機関であること。
b 派遣先が以下の全ての基準に適合していることを求めるもの。
(a) 労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。
(b)特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後に,非自発的離職者を発生させていないこと。
(c)特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後に,行方不明者を発生させていないこと。
(d)欠格事由に該当していないこと。
(イ)用語の定義
a 「労働者派遣」については,前記「2(1) オ派遣先が定まっていること」のとおり。
b 「派遣先」とは、派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受ける者をいう。
c 「特定機関」とは,国家戦略特別区域法第16条の5に規定する本邦の公私の機関であって,農業支援活動を行う外国人の受入れを適正かつ確実に行うために必要なものとして政令で定める基準に適合する機関をいう。
(ウ)審査のポイント
a 農業分野について,次のいずれかの方法により派遣元である特定技能所属機関が基準に適合することを確認する。
(a)派遣元である特定技能所属機関が農業又は農業に関連する業務を行っていることについては,申請書(所属機関等作成用V), 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11号)及び定款,登記事項証明書,有価証券報告書,営農証明書,決算書類(損益計算書等)等の記載から確認する。
(b)地方公共団体又は農業若しくは農業に関連する業務を行っている者が資本金の過半数を出資していることについては,有価証券報告書,株主名簿の写し等 資本金の出資者を明らかにする書類の記載から確認する。
(c)地方公共団体の職員,又は,農業又は農業関連業務を行っている者若しくはその役職員等が特定技能所属機関の役職員であることその他地方公共団体又は農業又は農業関連業務を行っている者が業務執行に実質的に関与していることについては,役員名簿,業務方法書,組織体制図等,地方公共団体の職員等が業務執行に実質的に関与していることが確認できる書類の記載から確認する。
(d)国家戦略特区農業支援外国人を受け入れている特定機関であることについては,申請書(所属機関等作成用V),特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11号)及び特定機関基準適合通知書の写しの記載から確認する。
b 漁業分野について,次のいずれかの方法により派遣元である特定技能所属機関が基準に適合することを確認する。
(a)派遣元である特定技能所属機関が漁業又は漁業に関連する業務を行っていることについては,申請書(所属機関等作成用V),特定技能所属機関概要書(参 考様式第1-11号)及び定款,登記事項証明書,有価証券報告書,決算書類(損益計算書等)等の記載から確認する。
(b)地方公共団体又は漁業若しくは漁業に関連する業務を行っている者が資本金の過半数を出資していることについては,有価証券報告書,株主名簿の写し等 資本金の出資者を明らかにする書類の記載から確認する。
(c)地方公共団体の職員,又は,漁業又は漁業関連業務を行っている者若しくはその役職員等が特定技能所属機関の役職員であることその他地方公共団体又は漁業又は漁業関連業務を行っている者が業務執行に実質的に関与していることについては,役員名簿,業務方法書,組織体制図等,地方公共団体の職員等が業務執行に実質的に関与していることが確認できる書類の記載から確認する。
c 派遣計画書(参考様式第1-12号)及び派遣先の概要書(参考様式第1-14号又は1-15号)の記載から、派遣先(派遣予定先が複数ある場合は,その全てについて)が非自発的離職及び行方不明者を発生させていないこと並びに欠格事由に該当しない旨の誓約があることを確認する。
d 上記a又はb,及びcにより基準に適合していることを確認した場合は,本庁に上申し,本庁において関係行政機関の長と協議する。本庁において関係行政機関の長と協議した結果,適当であると認めた場合は,(略)
なお,運用上、この判断は当該協議の終了の日から3年間有効なものとして取扱うこととし,有効期間内であれば,特段の事情変更(資本関係の解消等)がない限り,本庁への上申を省略して差し支えない。
他方,当該協議の終了の日から3年が経過している場合は、改めて本庁へ上申する必要があることに留意する。
e また,在留期間更新許可申請の場合であって,当該派遣先への派遣が3年を経過する場合には,派遣先の労働者の代表(過半数により組織され労働組合又は過半数により選任された代表者)の意見を聴取をする義務があるとされていることから(労働者派遣法第40条の2第3項及び第4項), 派遣先の労働者の代表の同意を得ていることを示す書類として意見聴取事項を記した書面の提出を求める。
(エ)その他留意事項
a 労働者派遣事業を営む企業等へ派遣労働者として就職する者の取扱いについては,第2章第1節第4を参照する。
b 派遣元である特定技能所属機関は,労働者派遣法における派遣先からの通知(労働者派遣法第40条第1項)を踏まえ,活動状況に係る届出(法第19条の18第2項第1号及び第3号)を行うことが求められる。
c 労働者派遣については,本基準に加えて,特定技能雇用契約に関する基準にも適合している必要があるところ,審査に当たっては前記2(1) オ「派遣先が定まっていること」を参照する。
d 労働者派遣法上,派遣先への派遣期間は原則として3年であり(労働者派遣法第35条の3),3年まで延長することが可能であるが,労働者の代表(過半数により組織され労働組合又は過半数により選任された代表者)の意見を聴取する義務があるとされており,同一の派遣先期間は同一業務について通算され,期間を超えて同一の業務を継続する場合,派遣先が派遣労働者を直接雇い入れるよう努めなければならないこととされている(労働者派遣法第40条の2から第40条の5まで)。
(オ)立証資料
<共通>
・特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11号)
・派遣計画書(参考様式第1-12号)
・意見聴取事項を記した書面(同一の派遣先で3年以上派遣する場合)
<農業分野>
・派遣先の概要書(農業分野)(参考様式第1-14号)
・定款,登記事項証明書,有価証券報告書,営農証明書,決算書類(損益計算書等)等,特定技能所属機関が農業又は農業に関連する業務を行っていることが確認できる書類
・有価証券報告書,株主名簿の写し等資本金の出資者を明らかにする書類等,地方公共団体又は農業若しくは農業に関連する業務を行っている者が資本金の過半数を出資していることが確認できる書類
・役員名簿,業務方法書,組織体制図等,地方公共団体の職員等が業務執行に実質的に関与していることが確認できる書類
・特定機関基準適合通知書(特定技能所属機関が国家戦略特区の農業支援外国人を受け入れている特定機関である場合)
<漁業分野>
・派遣先の概要書(漁業分野)(参考様式第1-15号)
・定款,登記事項証明書,有価証券報告書,決算書類(損益計算書等)等,特定技能所属機関が漁業又は漁業に関連する業務を行っていることが確認できる書類
・有価証券報告書,株主名簿の写し等資本金の出資者を明らかにする書類等,地方公共団体又は漁業若しくは漁業に関連する業務を行っている者が資本金の過半数を出資していることが確認できる書類
・役員名簿,業務方法書,組織体制図等,地方公共団体の職員等が業務執行に実質的に関与していることが確認できる書類
ケ 労働者災害補償保険に係る保険関係の成立のための措置を講じていること
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
10号 事業に関する労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険に係る保険関係の成立の届出その他これに類する措置を講じていること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
特定技能外国人への確実な労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)の適用を確保するため,特定技能所属機関の基準として,労災保険に係る手続を適切に履行していることを求めるもの。
(イ)用語の定義
a 「保険関係の成立の届出」とは,労災保険の適用事業所が履行しなければならない「労働保険/保険関係成立届」及び「労働保険概算保険料申告書」を労働基準監督署等に提出することをいう。
b 「その他これに類する措置」とは,労災保険の適用事業所以外の事業所(労災保険の暫定任意適用事業所をいう。)である場合においては,民間保険に加入していることをいう。
(ウ)審査のポイント
a 申請書(所属機関等作成用V)の記載から,労災保険に係る保険関係の成立の届出その他これに類する措置を講じていることを確認する。
b 雇用条件書(参考様式第1-6号)の記載から,労災保険の適用状況を確認する。
c 労災保険の適用事業所である場合は,前記ア「労働,社会保険及び租税に関する法令の遵守」の(オ)a(a)「労働保険」に係る立証資料の提出をもって,所定の手続が適切に履行されているものとして扱う。
d 労災保険の適用事業所でない場合は,民間保険の加入を証明する資料の提出を求め,民間保険に加入していることを確認する(原則として,当該資料の提出があった場合は,所定の手続が適切に履行されているものとして扱う。)。
(エ) その他留意事項
a 労災保険の適用事業所
労災保険制度は,業務上の事由又は通勤による労働者の負傷,疾病,障害又は 死亡に対して必要な保険給付を行うとともに,あわせて被災した労働者の社会復帰の促進,被災した労働者と遺族の援護,労働災害の防止などを目的とする社会復帰促進等事業を行う総合的な保険制度である。
原則として,事業主は労働者を1人でも使用していれば,法律上,当然に労災保険に加入することとなるが,次のいずれかに該当する場合は,暫定任意適用事業所とされ,労災保険が当然に適用されるものではない。
(a)労働者数5人未満の個人経営の農業であって,特定の危険又は有害な作業を主として行う事業以外のもの。
(b)労働者を常時は使用することなく,かつ,年間使用延労働者数が300人未満の個人経営の林業
(c)労働者数5人未満の個人経営の畜産,養蚕又は水産(総トン数5トン未満の漁船による事業等)の事業
b 労災保険給付の種類と内容
労災保険給付には,療養補償給付(通勤災害の場合には,療養給付。以下に同じ。),休業補償給付(休業給付),障害補償給付(障害給付),遺族補償給付(遺族給付),葬祭料(葬祭給付),傷病補償給付(傷病給付),介護補償給付(介護給付),二次健康診断等給付があり,これらの保険給付とは別に,社会復帰促進等事業の一つとしての特別支給金の支給等がある。
主な給付の内容は以下のとおりである。
(a)療養(補償)給付
i 療養の給付
療養の給付は,被災労働者が無料で必要な治療(診察、処置,薬剤等)を受けることができる療養の現物給付である。この療養の給付が行われるのは, 労災病院及び都道府県労働局長が指定した病院,診療所,薬局又は訪問看護事業者等(労災指定医療機関等)である。
また、療養の給付は症状が固定(治ゆ)するまで行われるが,症状固定(治ゆ)とは必ずしも全快を意味するわけではなく,医学上一般に認められた医療を行っても医療効果が期待できなくなった状態のことをいう。
ii 療養の費用の支給
被災労働者が労災指定医療機関等以外の医療機関で療養したような場合,療養の現物給付を行うことができないので,この場合,被災労働者はその療養に要した費用全額の立替払を行い,後日、所轄労働基準監督署に請求し, 現物給付を受けることになる。
なお,療養の費用が支給される範囲や期間は、療養の給付と同じである。
(b)休業(補償)給付
被災労働者が業務上の傷病による療養のため労働することができず,そのために賃金が受けられないときは、休業補償給付(通勤災害の場合は,休業給付)が休業4日目から支払われる(通勤災害の場合は,初回給付額から200円一部負担金を控除されて支給)。給付額は、1日につき給付基礎日額(原則として労働基準法第12条の平均賃金相当額)の60%相当額が,所定労働時間の一部を休業したような場合は,給付基礎日額と実労働時間に対して支給される賃金の差額が60%相当額となる。
休業初日から3日間は待機期間とされているが,業務災害の場合,この3日間について使用者が労働基準法上の休業補償(平均賃金の60%相当額)を行わなければならない。
なお、休業(補償)給付の受給者については,1日につき給付基礎日額の20%相当額の「休業特別支給金」が併給されることになっており,実質的な休業補償給付額は給付基礎日額の8割となる。
(c)障害(補償)給付
業務上・通勤途上の疾病の症状固定(治ゆ)時に障害が残っている場合に,厚生労働省令で定める障害等級に応じ,年金又は一時金が支給される。
(d)遺族(補償)給付
業務上・通勤途上で労働者が死亡した場合は,その遺族に対し,死亡労働者との続柄・生計維持関係によって,年金又は一時金が支払われる。
(e)傷病(補償)給付
この傷病(補償)年金は,労働者の業務上又は通勤による負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日,又はその日以後において,当該負傷又は疾病が治らず,それによる障害の程度が傷病等級(第1級~第3級)に該当するときは,休業(補償)給付から傷病(補償)年金に切り替えられ,その障害の程度に応じて年金が支給される(該当しない場合には,引き続き休業(補償)給付が支給される。)
(f)労災保険の給付請求
労災保険の給付請求は,被災者又は遺族が直接行うことになっているが,特定技能外国人が被災した場合,労災保険制度についての理解が不十分であること,日本語が堪能でないこと等もあり,特定技能所属機関は,支援を通じて本制度について理解の向上に努め、万が一事故が発生した場合には,被災者や遺族に対し,積極的な支援を行うことが求められる。
具体的には,業務災害又は通勤災害等が発生した場合には、①保険給付の請求手続を支援すること,②保険給付の請求に当たり、必要事項等の記入に際して手助けすること,③場合によっては,請求に当たって労働基準監督署へ同行すること, ④受給に伴う金融機関等の口座開設を支援すること等が考えられる。
(g) 第三者行為災害
保険関係の当事者以外の者の行為や他の建物の設備等によって発生した災害をいう。第三者行為災害も,業務災害又は通勤災害として扱われるところ,被災労働者又はその遺族は、所轄労働基準監督署に対して労働保険の保険給付を請求できることはもちろんのこと,災害を発生させた第三者に対して民事上の損害賠償を請求することができる。また,第三者行為災害が自動車事故である場合は,自動車損害賠償責任保険等から保険金を受けることもできる。
しかし,これらの場合には,同一の事由について重複して損害のてん補を受けると,実際の損害額よりも多く支払を受けることとなり不合理であることから,労災保険法において支給調整が定められている。また,第三者行為災害に伴う労災保険給付請求の際には,「第三者行為災害届」を所轄労働基準監督署に提出することになっている。
(h)保険給付の請求等についての支援
特定技能外国人に係る労働災害等が発生した場合は,特定技能所属機関に対し,労災保険給付の請求その他の手続に関し,特定技能外国人からの相談に応じるほか,当該手続を支援するなど必要な支援を講ずるよう指導する。
(i)労災と思われる事案を認知した場合
労災と思われる事案を認知した場合は,速やかに特定技能所属機関に対し,労働基準監督署へ相談するよう指導する。
(j)労働者災害補償保険に類する措置
労災保険に関する措置として加入しなければならない民間の任意保険の内容については,特段基準を設けてはおらず,何らかの民間の任意保険に加入している事実があれば基準適合として取り扱う。
しかしながら,契約した民間の任意保険の補償内容では適切に補償がされない場合(例えば、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷は補償するものの,疾病については補償をしない場合)には,その補償の範囲外の項目について特定技能所属機関が自ら補償することが必要となることに留意する。 労災保険の適用事業所でない場合労災保険の適用事業所でない場合は,これに準ずる民間保険に加入しなければならないが,加入する保険の種類については特段定めはないものの,明らかに労働者災害の補填には十分でない保険内容である場合は,特定技能所属機関に対して必要な指導・助言を行う。
(オ)立証資料
a 労災保険の適用事業所である場合
・雇用条件書(参考様式第1-6号)
・前記ア「労働,社会保険及び租税に関する法令の遵守」の(オ)a(a)「労働保険」と同様。
b 労災保険の適用事業所でない場合
・雇用条件書(参考様式第1-6号)
・民間保険の加入を証明する資料
コ 特定技能雇用契約を継続して履行する体制を有していること
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
11号 特定技能雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
特定技能所属機関に対し,特定技能雇用契約を継続して履行する体制を備えていることを求め,もって特定技能外国人の安定的かつ継続的な在留を確保するもの。
(イ)用語の定義
「特定技能雇用契約を継続して履行する体制」とは,特定技能所属機関が事業を安定的に継続し,特定技能外国人と締結した特定技能雇用契約を確実に履行し得る財政的基盤を有していることをいう。
(ウ) 審査のポイント
a 申請書(所属機関等作成用V)の記載から,特定技能雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていることを確認する。
b 直近2事業年度の決算文書(損益計算表及び貸借対照表)の写し及び直近2事業年度の法人税の確定申告書の控え(納税地の所轄税務署長の受付印のあるもの) の写し(個人事業主にあっては,直近2事業年度の納税証明書)から,事業を安定的に継続するに足りる財政的基盤を有していることを確認する。
具体的には,以下の事項を確認する。
(a) 前事業年度において債務超過がないことの確認
前事業年度に係る貸借対照表の写しを参照し,資産の部の合計から負債の部の合計を引いた金額がマイナスになっておらず,債務超過となっていないことを確認する。債務超過となっていない場合には,基準適合と判断し,債務超過となっている場合には,後記 (b)により判断する。
なお,前事業年度において債務超過でなければ,前々事業年度において債務超過であっても基準適合と判断して差し支えない。
(b)前事業年度において債務超過がある場合の確認
i 前々事業年度に係る貸借対照表の写しを参照し,資産の部の合計から負債の部の合計を引いた金額がマイナスになっておらず,債務超過となっていないことを確認する。
ii 中小企業診断士,公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が,改善の見通し(一定期間以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)が提出されており,同書面に特段の疑義がないことを確認する。
iii 前々事業年度が債務超過となっておらず,改善の見通しについて第三者の評価が適切にされている場合には,基準適合と判断する。前々事業年度も債務超過となっている場合については,後記(c)により判断する。
(c)前事業年度及び前々事業年度において債務超過がある場合の確認
i 中小企業診断士,公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が,改善の見通し(一定期間以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)が提出されていることを確認する。
ii 前事業年度及び前々事業年度のいずれも債務超過となっている場合には,安定的かつ継続的に事業を行っていると判断し難いことから,第三者の評価が適切であり,特段の疑義がないことを審査する。第三者の評価の確認に当 たっては,次の点などを踏まえて総合的に判断する。
①直近に増資,親会社などからの救済等の債務超過を改善する具体的な予定があるか否か
②債務超過の原因が借入金である場合であって,短期間に返済を求められ るものでないことが明らかとされているか否か(5年以内など短期間に返済を求められるものでないことが明らかとされており,かつ,その借入先が親会社,銀行,代表者の親族等である場合等には、直ちに事業の継続性を否定し得るものでない。)
(d) 貸借対照表の写しの記載内容に疑義がある場合の確認
貸借対照表の写しの記載内容に疑義がある場合については,直近2事業年度に係る法人税の確定申告書,納税証明書の写し等から、貸借対照表の資産の部の合計と負債の部の合計が正しく記載されていることを確認する。
c なお,設立後最初の決算期を終了していない法人については,会社法第435条第1項に規定する会社設立時の貸借対照表,一般社団法人及び一般財団法人に 関する法律第123条第1項(同法第199条において準用する場合を含む。)に規定する法人設立時の貸借対照表等を提出していることをもって,特定技能雇用契約を継続して履行する体制を備えている旨評価することとする。ただし,次回更新時に前記bに基づき決算文書等の確認を行うことになることに留意する。
(エ)立証資料
・直近2事業年度の決算文書(貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書)の写し
・直近2事業年度の法人税の確定申告書の控えの写し
・直近2事業年度の所得税の納税証明書(個人事業主の場合)
(以下,直近期末において債務超過がある場合に求める資料)
・中小企業診断士,公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面
サ 特定技能外国人の報酬を指定する銀行口座等へ振り込むこととしていること
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
12号 特定技能雇用契約に基づく外国人の報酬を,当該外国人の指定する銀行その他の金融機関に対する当該外国人の預金口座又は貯金口座への振込み又は当該外国人に現実に支払われた額を確認することができる方法によって支払われることとしており,かつ,当該預金口座又は貯金口座への振込み以外の方法によって報酬の支払をした場合には,出入国在留管理庁長官に対しその支払の事実を裏付ける客観的な資料を提出し,出入国在留管理庁長官の確認を受けることとしていること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
報酬の支払方法について,特定技能外国人との合意の上で,当該外国人の指定する預金口座又は貯金口座に振り込む方法とすること及び当該外国人の希望により通貨払をする場合は,報酬の支払事実を裏付ける客観的資料の提出を求め,報酬の確実な支払を確保し,不当な控除を防止するもの。
(イ) 用語の定義
「預金口座又は貯金口座への振込み以外の方法によって報酬の支払をした場合」
とは、賃金の支払方法について,特定技能外国人から通貨直接払を希望する旨の申出があった場合に、預金口座等への振込みによらず通貨により直接支払うことをいう。
(ウ)審査のポイント
a 申請書(所属機関等作成用V)及び雇用条件書(参考様式第1-6号)の記載から,特定技能外国人への報酬の支払方法を口座振込み又は通貨直接払のいずれかとすることとしていることを確認することとなる。
b 上記 a において,通貨直接払とする場合にあっては,申請書(所属機関等作成用V)の記載から,出入国在留管理庁長官に対し,その支払の事実を裏付ける客観的な資料を提出し確認を受けることとしていることとしていることを確認する。
c 在留期間更新許可申請においては、下記(エ)bで本基準の適合性が維持されていることを踏まえて審査を行う。
(エ) その他の留意事項
a 労働基準法第24条第1項において,賃金の支払については「通貨で,直接労働者に,その全額を支払わなければならない」と規定されており,通貨直接払を原則とし,例外として,同法施行規則第7条の2において,「使用者は,労働者の同意を得た場合」には,当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込みとすることができるとされていることから,賃金の支払方法を預金口座等への振込みとするに当たっては,労使間でこれを合意していることが前提であることに留意する。
b なお,賃金の支払方法を「通貨払」とした場合には,活動状況に係る届出(法第19条の18第2項第3号)において,給与明細の写し及び報酬支払証明書(参考様式第5-7号)の提出を求め,報酬の支払及び受領事実があることを確認する(賃金の支払方法を「口座振込」とした場合には,必要に応じて,実地調査を実施した際などに,特定技能所属機関が申請人の指定する口座に振り込んだ額を証明する資料(振込領収書)及び申請人の口座等に実際に振り込まれた額を証明
する資料(当該外国人の預金口座又は貯金口座に振り込まれたことを証明する通帳の写し若しくは取引明細書の写し)の提出(提示)を求め,振込額と入金額に差異がないことを確認する。)。
(オ)立証資料
・雇用条件書(参考様式第1-6号)
(以下活動状況に係る届出時のみ)
・報酬支払証明書(参考様式第5-7号)
シ 分野の特性に応じた基準
<特定技能基準省令第2条第1項>
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係るものは,次のとおりとする。
13号 前各号に掲げるもののほか,法務大臣が告示で定める特定の産業上の分野に係るものにあっては,当該産業上の分野を所管する関係行政機関の長が,法務大臣と協議の上,当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。
特定技能基準省令第2条第1項
(ア)要件の内容
特定産業分野ごとの特有の事情に鑑みて上乗せ基準を設けることができるもの。 なお,詳細については,特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領を参照すること。
(イ)用語の定義
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領を参照すること。
(ウ)審査のポイント
特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領を参照しながら,特定分野の要件適合性審査チェックリストに従って審査を行う。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri05_00019.html
レッツ ゴー ふ あん は フフフ の フ050-710-77707※留守番電話になりましたら、必ず一言メッセージをお願い致します(営業電話が非常に多いため)。当方より折り返しご連絡致します。(Tel No,末尾5554より折り返す場合があります)
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