帰化申請の書類
帰化申請に必要となる書類は、個々の状況によって異なりますが概ね以下のとおりです。
- 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
- 親族の概要を記載した書類
- 帰化の動機書
- 履歴書
- 生計の概要を記載した書類
- 事業の概要を記載した書類
- 住民票の写し
- 国籍を証明する書類
- 親族関係を証明する書類
- 納税を証明する書類
- 収入を証明する書類
これらは大きく分けると以下の4種類に分類することが出来ます。
1)作成する書類
2)取り寄せる書類
3)手持ちの書類
4)その他
帰化申請で作成する書類
ここからは実際の帰化申請書類の作成方法についてご説明していきます。
申請書類一式は、法務局での面談の際に担当官から直接手渡されたものを使用します。各用紙の形式は、法務局によっては多少異なる場合もありますので、各法務局備え付けの記載例なども適宜参照します。
なお、書類は原則として2通提出することとなっていますが、1通は原本を提出し、もう1通は写しでも差し支えないとされています。
帰化許可申請書
帰化許可申請書には、帰化しようとする人の国籍、住所、氏名、生年月日、両親の氏名等を記載し、さらに写真を貼り付けます。
この帰化許可しんせいしょは、申請者ごとに作成しなければなりませんので、同一世帯の外国人家族が一緒に申請をする場合には、その人数分の帰化許可申請書が必要となります。
写真
帰化申請者の顔写真を貼り付けます。
写真は、申請日の前6か月以内に撮影した縦横5cm四方のもので、正面上半身、無帽、単身のものでなければなりません。
ただし、申請者が15歳未満であるときは、父母などの法定代理人とともに撮影されたものでなければなりません。
写真は帰化申請書の2通ともに貼り付けが必要です。
日付欄
日付欄は、実際に帰化申請書類を法務局へ提出する日をあとから記入しますので、空欄にしておきます。
出生地
出生した場所を書きますが、出生届等の記載と違うことの無いよう注意しなくてはなりません。
住所
住民票の記載通りに正確に記載します。
住民票にマンション名・アパート名が記載されていない場合でも、マンション名・アパート名は記載して下さい。
父母との続柄
長男(長女)、次男(次女)等、父母との続柄を記載します。不明のときは「不明」と記載します。
父母の氏名
もしすでに死亡しているときには、「亡◯◯」とします。
韓国や中国のような漢字圏の場合はそのまま漢字で記載します。その他の文字の場合はカタカナで記載します。
帰化後の本籍
帰化が許可になった場合の本籍地を記載しておきます。国内の正しい行政区画による町名地番であればどこでも構いませんが、通常は現住所とするのが良いでしょう。
帰化後の氏名
帰化が許可になった場合の帰化後の氏名を記載しておきます。
常用漢字、人名漢字、カタカナまたはひらがなを使用した名前であれば構いませんが、これまでの通称名が有る方はその名前にされる方がほとんどです。
夫婦又は日本国民の配偶者が申請する場合には、帰化後の氏について夫又は妻のいずれの氏によるかを( )内に記載します。
帰化の動機書
この書類には、帰化したいと思う理由、動機を書きます。
自筆できる人は必ず自筆しなければならず、日本語で書く必要があります。
15歳未満の方は本書類は不要となります。
余程の理由がない限り、許可・不許可に影響しないと言われていますので、あまり深く考えずに、思うことを素直に書いて下さい。
主に以下のようなことを書くと良いと思います。
○ 今まで日本で生活してきた経緯
○ 日本での生活になじんでいること
○ 本国に帰る意思はないということ
○ 今後も日本で日本人として生きていくという意志
ちなみに法務省によれば、「例えば渡日に至った経緯と動機、日本での生活に対する感想、本国に対する思い、今までに行った又は今後行いたい社会貢献などを書く」とあります。
履歴書(その1、その2)
帰化申請の履歴書は一般的な履歴書とは様式、書き方が異なります。
なお、1枚で書ききれない場合には2まい、3枚にわたっての記載となることもあります。
この書類は申請者ごとに作成が必要ですが、15歳未満のかたは作成が不要となります。
氏名
本国のお名前を記載します。
年月日
和暦で記載します。
できれば年月日すべてを記載しますが、詳細がわからない場合には年月または年のみの記載でも構いません。
居住関係
生まれてから現在までの居住歴をすべて記載します。
詳しい番地など詳細が不明の場合は「以下不詳」などとしても差し支えありません。
但し他の取り寄せた書類(住民票・閉鎖外国人登録原票の写し・韓国の証明書・出生届け・婚姻離婚届など)や生計の概要書などとつじつまが合うように注意が必要です。
住所の最後には「○年○月○日まで」と転出した日付を書きます。
この場合、絶対に空白期間が生ずることがないよう、注意しなくてはなりません。
現在お住まいの住所の欄には末尾に「(現在まで)」と付け加えます。
学歴・職歴
学歴は、小学校から最終学歴まで、転校などの場合も含め、記載します。
学校の校区と住所のつじつまがあっているか、よく確認が必要です。(学校、勤務先の住所の記載は必要ではありません。)
職歴については、会社名と職種を記入し、生計の概要書や住民税納税証明書・確定申告書などとつじつまが合っているかチェックしましょう。
現在されているお仕事の欄には末尾に「(現在まで)」と付け加えます。
なお、学歴、職歴については、在勤証明書、最終学校の卒業証明書、中退証明書、在学証明書等を添付資料として提出することとなります。
身分関係
出生、事実婚、婚姻届、父母の死亡等の身分歴について記載します。
技能資格
自動車運転免許の番号等もここに記載します。
記載したものには、それぞれの免許証等の写しを添付する必要があります。
賞罰
表彰などを受けた場合、又は道路交通法違反等の罰則(反則金も含む)などを記載します。
交通違反の場合、運転記録証明書を添付することになります。
宣誓書
この宣誓書については、あらかじめ作成する書類ではありません。申請書一式を法務局へ提出する際に、担当官の面前で直接手書きで署名及び押印をして作成するものです。
申請者ごとに作成しますが、15歳未満の人は不要です。
宣誓内容は下記の文言となっています。
”私は、法律を守り善良な国民となることを誓います。” 年 月 日 署名
親族の概要
帰化申請者の親族、親兄弟(死亡者を含む)についての概要を、在日親族と在外親族とに分けて記載します。
なおこの書類は一世帯ごとに作成します。
氏名、住所の記載は漢字名の場合は漢字で記載しますが、アルファベット他の場合はカタカナに変換して記載します。
生計の概要(その1,その2)
この書類は、世帯を同じくする家族の収入、支出、資産などの生計を記載する書類です。
したがって、一世帯ごとに作成をすることとなります。
なお、この書類は帰化申請書を提出する日の前月分を基準に記載することとなっていますので、あまり早くに作成して状況が変わってしまうことのないよう、注意が必要です。
氏名
同一世帯の中で収入のある人全員について記載します。
月収
氏名欄に記載した人それぞれの申請時の前月分の収入(税金等を差し引いた手取り額)を記載します。
種目
事業収入、家賃収入、給与などと記載します。合わせて備考欄に勤め先やいつから働いているかといった情報を記載すると良いでしょう。
仕送りなど、世帯を異にする親族によって申請者の生計が維持されているときは、収入欄にその親族からの収入について記載します。
負債
主には住宅ローンなどが該当します。
不動産
不動産を所有している場合に記載します。不動産が土地の場合には、地目・地積等、建物の場合には建物の種類・構造及び床面積等を記載します。
この場合、不動産の登記事項証明書を一緒に提出します。
なお、日本以外の国に不動産を所有している場合にも記載します。
高価な動産
こちらについては概ね100万円以上のものを記載するようにします。
事業の概要
申請者又は配偶者又は同じ世帯の家族が下記のいずれかの場合には、この書類が必要となります。
・個人事業を営んでいる場合
・会社を経営している場合
・父母兄弟などの親族が経営している会社の取締役に就任している場合
・誰かと共同で個人事業を営んでいる場合
2つ以上の事業を行っている場合には、1事業ごとに作成しなくてはなりません。
なお、事業の概要を記載した書面には、事業の財務内容等について記載しますので、確定申告書の控え、貸借対照表及び損益計算書等の決算書のほか、法人に関してはその法人の登記事項証明書が必要です。また、官公署の許認可等を要する事業についてはその許可証などの写しが必要となります。
対象となる期間
個人事業の場合は、申請日の前年の1月から12月までとなります。
法人の場合、申請日直近の事業年度についての記載となります。
営業の内容
法人の場合には登記事項証明書の目的欄をもとに記載します。
営業資本
法人では、決算報告書の貸借対照表内、資本合計の金額を記載します。
個人事業の場合には、事業年度終了時点(12月末)で事業のための資本として存在する金額を記載します。
事業用財産
事業用財産とは、例えば車両や設備機器など、事業に使用する資産を記載します。
取り寄せる書類、手持ちの書類
取り寄せる書類と手持ちの書類については下記の記事で解説しております。よろしければこちらも合わせてご覧くださいませ。
関係法令等
リンク先:e-gov法令検索
参考リンク
帰化許可申請(リンク先:法務省)
国籍(リンク先:東京法務局)
参考書籍・参考文献
帰化・永住・在留許可申請業務(リンク先:Amazon)
国籍の得喪と戸籍実務の手引き(リンク先:Amazon)
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